「速読」を超えて『乱読』 乱読のセレンディピティ 著:外山滋比古
本は風のように読むのがよい
外山滋比古さん
「思考の整理学」という本があります。
僕が浪人時代に「2014年大学生協 文庫年間ランキング1位」「東大1位 京大2位 早大1位」という帯に惹かれ、即購入した本なのですが、
「朝食は食べない」「学校はグライダー人間を生産している」など、あまりにも自分にとって異次元すぎる内容に若干ついてこれなかった感はありましたが、読んでいてとても刺激的でした。(ただし、浪人中に読むべきではなかったです)
今回感想を述べる本はこの本と同じ著者であり。またあの時のような知識の刺激が欲しく、生協で見て即購入してしまいました。
この本の内容
2,3年前からでしょうか。書店には速読の本をよく見るようになりました。「速読流行っているのかなー」なんて思っていると「速読ではなくゆっくり読む」みたいな本まで登場して、いろんな読書術もあるもんだなーと書店を巡りながらよく考えています。
この本も読書術の一つ。ただし、読書術だけではなく、『考えること』全体の著者の意見が述べられています。(というより読書術についてはそこまで書いてないかも)
乱読のセレンディピティ
この本のタイトルにもなり、メインテーマとなっている『乱読』。
乱読とは、あまり一冊の本を深く読むのではなく、手当たりしだいに多くの本を読んでいくことを指しています。
また、『セレンディピティ』とは思いがけないことを発見する能力のことです。偶然の産物を発見する能力ともいえるでしょうか。
この本では『乱読』によって、とにかく多くの本を読み続け、もし内容を忘れてしまった、もしくは間違えて覚えてしまっても、そこから新しい何かを産み出すことができる。つまりセレンディピティが起こることを説明しています。
知識と思考
また、著者は知識と思考の関係についても述べております。
知識と思考はトレードオフのような関係であり、知識が多すぎると思考力がなくなってしまう。つまり、自分でものを考えられなくなってしまう。だから、覚えたことは忘れるべき。そうでないと知的メタボになる…ということです。
感想
以上の2つが特に僕が刺激的だと感じた事柄です。
ぶっちゃけ感想は…「む、難しすぎる…!」
1冊の本を暗記するまで読むのが最強だと、知識は多ければ多いほど良いと思い込んでいた自分にとって、「覚えるべきでない」という考えを読むと、脳が混乱してきました。
本当のことを言うと、この本について語れるほど内容を理解できていません(すいません)しかし、内容を理解しようともう一度この本を読むことが、著者の意見に背くという矛盾…
書いてある内容も、ほかの本と真逆のことかいてあったりもするし…
先ほど紹介した「思考の整理学」という本もそうなのですが、どうやら自分は外山さんの本を読むと「この世の中に正解ってないんだな…」って思います。
とりあえず、少しずつ乱読を導入していこうかな…本の種類によって読書術を変えるのもありだと思いますし。
どんな本を読んでも、ありふれた考えばかりでつまらない!と思っている人、特におすすめです。
※冒頭の大見出しは前書き(P4)からの引用
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— Tomoy@240 (@TomoyA_240) November 9, 2016
ゼロ秒思考 -赤羽雄二 ダイヤモンド社
A4の紙に1件1ページで書く*1
この本の内容
「ゼロ秒思考」というタイトルを見て、瞬時に考える方法を書いていると思ったら大間違い。この本に書かれているのは『技術』ではなくて『トレーニング方法』でした。
この本は前書きと5つの章からなっており、1・2章では、人間の思考についての著者の考えが述べられており、3章からはゼロ秒思考をするためのトレーニング方法が細かく書かれています。
そのトレーニングというのが「A4の紙に1件1ページを、1分以内に、一日最低10ページは書く」というもので非常に簡単かと思ったのですが…
人間の思考
まずは1・2章で人間の思考について述べていた点で、最も私が感銘を受けた部分は『時間をかけて考えても意味はない』ということ。
時間をかけて考えるのはいいことと思いますが、著者の考えは長く考えている時間の大半の内容は悩んだり、堂々巡りしており、非常に無駄であるということでした。
この章を読んでみると、「あー確かに…、自分やってるわ…」と、時々出される悪例に共感していました。
こう、なんというか。今まで自分が常識であるとか、正しいと思っていたことが論理的に覆されたり、ちょっと疑っている感じはあったけど言語化できなかったことが文字で説明されていると感動しますよね。
トレーニングを実際にやってみて
で、ここからこの本の内容の中心であるトレーニング方法の感想なんですけど、実際に言われたとおりのことをやってみたんですよね。
だいたい5日間実施してみたのですが、いろんな効果がでてきました。
まず、書いた直後頭がすっきりしました。もやもやと頭の中にあるものを書きだしたことによって忘れるという感じではないのですが、脳から体に染み込んだ…?そんな感じになりました。
あと、辛いこと、ムカついたこととかも全部思ったとおりに書いてみると、楽になりました。また、1分間という制約があるので頭がフル回転しており、今まで考えたことないようなことまで思い浮かんできて、それが自分の悩みに対する解決策になることも多くありました。
今のところ出ている効果はこの程度でしょうか。トレーニング方法に関しては、この本に「これでもか!」というぐらいに細かく書いており、「このような場合はどうしたらいいのだろう…」と思うことはありません。紙に書く準備から、紙に書いた後の整理までしっかりと書かれております。
おわりに
この本を読んでみて、自分にプラスになったことが多くありました。もっと早く出会いたかった…
いろんな人におすすめしたい本です。
↓同じ人による関連本もあるようです。絶対に読みます。
*1:大見出しは帯からの引用
妄想銀行 (星新一 新潮社 新潮文庫)
結末を予想し、外す楽しみ×32
本の内容と感想
本書は星新一さんによるショート・ショート(明確な定義は存在しませんが、一般的に原稿用紙20枚程度以下の小説のことらしいです)を32編収めたものです。
1編約10ページ程度であるのに加え、星さんの読みやすい文章のおかげでスラスラと読むことができ、また1編1編を読み終えるごとに確かな読後感を感じました。
僕が中学生の頃、図書室でなんとなく手に取ったのが、星さんのショート・ショートとの出会いであり、なつかしさからこの本読みましたが、年を取っても、あの頃と同じ、いやあの頃以上のおもしろさを感じました。
また昔と違い、起承転結を意識し、結末を予想するという読み方をしてみました。
1編が短いため、起承転結を意識し、物語が進むにつれて訂正し、最終的にあっていたかを確認するのが簡単でした。
結末は「転」のあたりから、自然と予想が湧いてきましたが、それの予想を上回る結末が待っており、読み終わるたびに驚くばかりでした。
僕のおすすめは「信念」と「陰謀団ミダス」、「古風な愛」ですかねえ。
ただし、最も驚かされたのが、この本が発表されたのが「1967年」ということ。今から約50年近く前の作品であることでした。
読んでいるときは全く古臭さが感じられず、登場人物や言葉、描写がすんなりと入ってきました。これが星さんの書くショート・ショートの力なのか…
この本を通じて、改めて星新一のショート・ショートの魅力を知ることができました。全巻読破を目指してみようかな。